東洋活性白土1号機 組立記

当店販売中の東洋活性白土1号機
のキットを組みました。

説明書に従っての組立ですが、注意点も含めて
工作の顛末を披露いたします。

(注)現在キットは完売となって在庫はありません。

 

 
  ・東洋活性白土1号機とは
  
  
富山県の東洋活性白土の専用線(610mm)で活躍した蒸機といえば、協三製の
  2号機が有名ですが、その前にドコービル(ドコービール)タイプのBタンクが稼動
  していました。
  ドコービルは、日本では明治13年、大井川改修工事の際にフランスから2両のロコ
  を輸入したのが国内最初の使用となっています。
  その後、コピー機も何台か作られ、各地で活躍しました。東洋活性白土1号機も
  そのコピー機のようで、製造元を判断する銘板等はありません。
  
 

      鉄道ファン112号('70 9月号)より(写真下の銘板はキット付属パーツ)
  

 
 @エッチングパーツの切り離し
  パーツのランナーからの切り離しは、ランナー形状が工夫されていますので、順番を
  考慮してニッパーでそのまま切り離せます。ただ、真鍮製の方は、一部糸鋸等でカット 
  した方が安全かもしれません。
  パーツを切り離す前に、ネジ切りを済ませておきます。
  また、既に穴のあいた箇所もバリ取りをしておくとよいでしょう。
  
 A動力ユニット
  洋白エッチング板を折り曲げて組みます。通常折り曲げ筋を内側に曲げる
  ようになっていますが、ここは外側に曲げる箇所が多いので注意が必要です。
  説明書では赤色の*印です。逆に曲げて戻すと折れやすくなります。ただ
  このパーツはサービスパーツとして1枚余分にありますので、失敗がききます。
  軸穴の整形はビス止め後に並行等をチェックしながら行うと良いでしょう。

  

  動力ユニットにウォーム平ギャを段付ビスで固定し、車軸に平ギャを装着してから、
  前後をビスで固定して回転チェックを行います。ウォーム平ギャを手で回して車軸の
  平ギャが両方スムーズに回転すればOKです。
  分解して車軸に平ギャを接着剤で固定します。この平ギャ固定時は車輪をはめ込
  んで(最後がきつい場合は、車輪裏の軸穴を太目のドリルで軽くえぐっておきます)
  付属の治具を使用します。
  平ギャが固定できたところで、車輪を一旦外し、動力ユニットに組み込んでから
  念の為、もう一度回転状態を確認します。
  動力ユニットはビス止めのままでハンダ固定しない方が、その後の扱いで便利
  かもしれません。


 

 B車体の組立て
  切り離したパーツは周りのバリ取りをして、折り曲げ方向に注意しながら折り曲げ
  ます。組立順序に決まりはありませんが、最初にダミーフレームを床板に固定する
  ところから始めました。ビス止め仮組立てができますので、位置決めは簡単です。
  ダミーフレームは車輪とのクリアランスを確認してからハンダ付けします。特に
  絶縁側タイヤとの隙間が狭いとショートする可能性があります。
  シリンダーブロックは僅かに後方に傾斜していますので注意して固定して下さい。
  分かりやすいようにバルブロッドを長くしています。


  次にサイドタンク周りを組みました。内側に位置するサイドタンク基板は直角・平行に
  注意して折り曲げ、折り曲げ部はハンダ付けします。かなりデリケートな箇所ですので
  サイドタンクの外張りの時に常に直角・平行をチェックします。
  最初に煙室前面をハンダ付けしました。画像のように厚紙をテープで固定して、
  角材で押えるようにしています。
  画像にはありませんが、サイドタンクの内側の板は煙室前面の板(C8)の上方に高さ
  を合わせます。




  サイドタンク側面の折り曲げは、リベットを潰さないようにと木板で挟んでいますが、
  バイスにそのまま挟んでも問題ないようです。アールについてはそのまま曲げた程度
  でOKです。
  取水フタは0.5mm真鍮線を通して固定するようになっていますが、先端を少し出して
  頭をカップカッターで丸くしています。




 屋根の曲げは、ハローページの上にパーツを置き、適当な直径の瓶を押し付けるよう
 に転がして曲げています。ちなみにポスターカラーの瓶で手修正がいらないほどピッタリ
 でした。



  
  ベンチレーターの固定は、厚さ1mm程度の厚紙を挟んでハンダ付け後、真鍮線を
  カットして整形しています。



 
  ボイラーの接着では、特に説明するところはありませんが、キャブに固定する前に
  サンドドームに0.4mm真鍮線で砂撒管を付けておきます。
  念のため、キャブ固着後に砂撒管の先端はサイドタンクにハンダ付けしました。
  また、床板まわりとの固定は、接着剤を使用した方が安全です(狭い隙間から
  ハンダ鏝を当ててホワイトメタルのシリンダーブロックを溶かす可能性があります)。

  *説明書に原寸大の前・後・側面図がありますので実際に組立てる前に
    位置関係を把握しておくことを奨めます。
 
 Cクロスヘッド・ロッド関係
  クロスヘッドにメインロッドをワッシャー状のパーツ(B4)で挟むようにしてカシメるよう
  に説明書にはありますが、メインロッドの装着時にクロスヘッドがスライドバーにうまく
  はまらない(ガイドヨークのバリ取りが必要)場合とクロスヘッドの動きが硬くなる可能
  性がありますので、B4のパーツを使用しない方法もあります。ピストンロッドとスライド
  バーで脱落することはありません。ピストンロッドは周囲のバリを取って、スムーズに
  往復するようにします。
  カシメピンは先端が座グリされていますので、軽くたたいてOKです。
  サイドロッド、メインロッドのクランクピン穴はバリ取りを行います。取り付けはクラン
  クピン部分にはめ込む構造です。ロッドのはめ込む箇所を僅かに広げますが、
  マイナスドライバーの先で軽くひねるようにすると簡単です。
  バルブギャは、床板穴に差し込んで固定します。未塗装完成品ではそのように
  なっていますが、メインロッドに当たるようでしたら説明書のように床板折り曲げ部の
  外側に固定します(塗装済完成品では外側に固定されていますが、塗装でほとんど
  分かりません)。
  ロッド、クロスヘッドはサービスパーツとして余分にあります。
  
 
 D集電ブラシ
  これもかなりデリケートなパーツです。折り曲げや、装着時には十分注意して
  下さい。集電は車輪フランジ部分です。絶縁車輪側は動力ユニットに触れない
  ようにします。
  これもサービスパーツとして余分にあります。


 Eクランクの装着
  車軸先端にロスト製のクランクを固着しますが、説明書どおり整形し、ニッケル
  メッキしています。塗装済完成品(T氏作成)のように黒染めもいいですね。
  このクランクの装着タイミングはいつでもかまわないのですが、ダミーフレーム
  にシリンダーブロックを固定した後ですと、スライドバーとロッドのクリアランスが
  チェックできます(必要に応じて削ります)。
  位相については、厳密に行う必要はありません。
  たとえば、左側をピン穴が下になるように固定し、反対側は左水平に固定
  すると実物のように右クランクが90度進むようになります。
  平ギャのモジュールが小さいため、車輪がぐらつくことはありませんので
  簡単です。車軸先端に瞬間接着剤を爪楊枝の先に少しとって固着しています。
  クランク固着後は当然車輪は分解できませんので、必ず動力ユニットに車輪を
  装着してから行います(当たり前ですね)。
  
  なお、カプラーはKD1025が加工なしで装着できます。


    
                       完成写真

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